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July 01, 2005
DRILLING FOR OIL 10
開けたドアが、プレストンの親父のあたまに直撃してしまった。ドアのブラインドの隙間から覗いていたんだ。よっぽど痛かったのか、手でさすっている。ビビっているように見えた。
彼は言った、「小僧、あいつはキチガイだって言っただろ。しっかりしろよ、モグラの郵便配達夫からお手紙を受け取るハメになるぜ。とりあえず、俺にママの住所を教えておけよ。おまえの亡骸を届ける家を知らないとな。これからどこに行くつもりなんだ?」
「見ろよ、プレストン。まったく仲良くなれなかったよ。それどころか、完全にカマされたよ。糞、ぼくはカウンセラーじゃないんだからさ。あそこまで狂ってる奴は無理だよ。ちょっと考えたいから、フォードへ戻るよ」
歩き去るぼくに、彼は舌打ちをしていた。ぼくは、フォードの座席に崩れ落ちた。クラブでかいた冷や汗で、体が臭かった。パンツもびしょびしょ。
遠くに、ぼくとヤリタイとか言ってた白人のホーが見えた。《ねぐら》のドアを開けたまま押さえている。《スウィート》が出てきた。後ろからホーの行進が続く。連中は、デュッセンベルグへと歩いていく。
赤いキャデラックから、編みこんだ髪をてかてかに光らせた、背が高い褐色の肌の男が出てきた。酒をあおっていたポイズンのホーの隣にいた男だ。
《スウィート》のホーたちが、車に乗りこんでいく。《スウィート》と髪がてかてかの男は、舗道で立ち話をはじめた。おたがいの背中を叩き合っている。かなり仲が良さそうだった。ミス・ピーチは、隣で尻尾をふっている。
ぼくは、思わず大声をあげてしまった。プレストンが、フォードの窓を叩いているんだ。ドアを開けてやった。彼はすべりこんできた。目を大きく見開いている。ぼくの肩越しに、外の《スウィート》を睨みつけている。
海岸に打ち上げられたサバみたいに、口をぱくぱくさせている。そして、ふくろうを象った、錆び付いた21口径のピストルを押しつけてきた。大統領暗殺の瞬間が訪れたかのように、がたがたと震えている。
「小僧、あいつを憎んでるな。ちがうか。威圧されてムカついてるんだろ。おまえがどんな目で奴を見ていたのか、ちゃんと知ってるぜ。あんな野郎がこの地球上に存在していいはずがない。さあ、おまえがやるんだ。
名声を勝ち取れ。これを握りしめて、後ろからそっと近寄れ。あの男が舗道で《グラス・トップ》と話しこんでいる隙を狙うんだ。耳ん中に銃口を突っ込んで引き金を引いてやれ。猫も殺せ。簡単だ、小僧、できるだろ・・!
この国のニガども全員がおまえのことを好きになる。さあ、偉くなるチャンスだぜ。行けよ、小僧、今しかない。こんな機会は二度とないんだぞ!」
ぼくは、「プレストン、ぼくはマーダー・ゲームに興味ないよ。そんなこと考えたくもないんだ。舗道で奴の脳ミソをぶっ飛ばして、全てを台無しにしてしまうなんてさ。ただ、あいつの脳ミソを少し頂戴して、ぼくの頭蓋骨の中で使いたいだけさ。プレストン、あんたは老人だからな。もうマスタードを凹ませる力も無いんだろ。ぼくなんかよりずっと酷く、何千回もあいつにスクリュー、カマされてるんだものな。お気の毒に。
もう負け犬なのに、ムリヤリ勝とうとすんなよ。やるなら、じぶんで行ってあいつを殺してきてよ。さあ、プレストン、この銃を持ってってよ。ここから出て行って。あんたのことは好きだけど、そっとしておいてよ。ハ? まったくもう今夜はファンキーな経験をしたよ。ちょっと、頭を切り換えないと・・」
「小僧、おまえ、もう俺には気力が無いっていうのか。あいつはな、俺を破壊したんだ。俺を再起不能にしたのはあいつなんだ。だが、ただのニガだ。クマじゃない。あの猫だって、虎じゃない。いいか、今から行ってやるよ。よく見てろ。全てにケリをつけてやるから・・!」
そして、老いぼれのプレストンは車から飛び出した。ぼくは、運転席から見ていた。足が悪いから、体がよたよたしていた。独立記念日によくポスターに描かれる、勇猛な《スピリット・オブ・76》みたいだった。
投稿者 Dada : July 1, 2005 06:25 PM